この不安な時代において、愛だけが信じられる。大切なものを守りたい。それは子供であり、家族、友人、会社、あるいは国家かもしれない。迫まり来る敵から命を懸けて守る。これは他人事ではない。僕らの物語でもある。愛国心だって暴走する。又、40年前の連合赤軍事件は、<現実>を変えようとして、<虚構>の革命を掲げて自滅した。そう言われる。しかし、人々の愛が余りに強すぎたが故の暴走であり、自滅だ。虚構や愛が元々、間違っていたのではない。では誰もが持っている虚構とどう付き合うか。愛をどう貫くのか。永遠のテーマをこの映画は僕らに突きつけている。

鈴木邦男さん(作家、評論家、一水会 最高顧問)

Coccoをずっと観ていたかったけど苦しくなる。でもCoccoが歌うと楽になる。お話通りにハマってしまった。容赦ない演出に苛立ったのはハマったからだと思う。塚本監督作品で一番好きだ。ガリガリのCoccoの身体と素晴らしい歌声とキャラクターとかバックグラウンドとか何もかも絶妙に掬って吐き出してる。あまりにもCoccoが素晴らしいから、また出てほしいなんて思わない。かけがえのない映画だった。

真利子哲也さん(映画監督)/twitter

この壮絶な痛みの向こうに彼女は何を見出すのか? 衝撃が今もまだ…。

門間雄介さん(編集者/ライター)

これは、コラボなんて生易しいものじゃない。映画界の鬼才VS.音楽界の鬼才の、神経ギリギリのガチンコ勝負。塚本監督はCoccoの心の傷をグリグリ攻めれば、彼女は全身のエネルギーを使ってそれに立ち向かう。下手なアクションも顔負けの、手に汗握る世紀の一戦だ。だが最後には、塚本晋也という理解者を得て、苦悶から解放されていくかのようなCoccoの姿があった。鬼才は鬼才を知る--。二人の出会いに乾杯!

中山治美さん(映画ライター)

KOTOKOは自分の声を、体を使って命がけで外の世界とつながろうとする。
女優・Coccoはその間に立って孤独な叫びを伝えようとする。
新しく演技という表現を手にした彼女の初々しいデビュー姿がまぶしい。

那須千里さん(映画ライター)

塚本監督好きにはたまらないほど塚本監督作品ならではの要素が濃厚にあるうえに、Coccoの存在感が圧倒的! 尋常ではない映画体験を堪能しました!

わたなべりんたろうさん(ライター、映画『3.11日常』監督)

塚本監督の新境地とも言える大変な作品だった。Coccoさんがとても上手で素なのか演技なのか区別がまったくつかなかった。いろいろ身につまされる内容でもありずっしりきた。心身ともにぐったりくる圧倒的な映画。

古泉智浩さん(漫画家)

彼女が笑ってくれますように、ただそれだけを祈りながらぞっとするような孤独を見つめ続けてしまう。もし彼女の笑顔がみれたなら、私の孤独まで、カラフルな幸せに満たされるように思えてしまうから。

渡辺真起子さん(女優)

「大事大事大事…」自分と愛する者が世界に傷つけられる前に自ら傷つけてしまうCocco。 「大丈夫大丈夫大丈夫…」塚本晋也は正面から受け止める。 目をそむけずにはいられない、その痛みを。

町山智浩さん(映画評論家)

役者だけではない、誰もが人生という舞台を演じている
わたしはこの虚構の世界でどんな役を演じているのだろうか
あなたはこの現実の世界でどんな役を演じているのだろうか

りょうさん(女優)

KOTOKOは沖縄の日差しを深く吸い込み、暗く光る黒い石。そして、こんなにも彼女を生きるCoccoさんの、歌が瞳がまぶしく心に刺さります。
暗さとまぶしさ、2つある。2つ感じる映画です。

鈴木京香さん(女優)

他に類無き二人の尖りすぎた異常性が剥き出しのプライベートフィルム。
この映画の感情の痛点を抉るような表現にどこまで耐えられるか?
「大丈夫!大丈夫!大丈夫!」
劇中、塚本晋也が語る言葉をいつの間にか、
KOTOKOにも、そして自分にも言い聞かせていた

水道橋博士さん(漫才師/浅草キッド)

琴子からとめどなく溢れ出す激情。
私ははじめ、その姿に戸惑い、心を凍らせた。
けれど次第に、彼女の必死さは私の中で覚えのあるぬくもりを産み 気がつけば琴子に寄り添っていた。

黒沢あすかさん(女優)

「ここ」で描かれる世界は確かに痛く、辛い。
でも今、僕にとって必要な痛みだった。
あなたにとってもそうだと思う。
ただ、見る者の覚悟に応える映画であることは間違いない。

松江哲明さん(映画監督)

ひとりの人間の心が持てる深さ、暗さ、そして広さに唖然となった。

香山リカさん(精神科医)

塚本作品の全ての要素が詰まった新しい塚本映画が誕生した。
代表作「TETSUO」は社会に憤りを鬱積させた青年が血肉を錆と鉄に変えて、外側への暴力に覚醒させる物語。
最新作「KOTOKO」は自らを切りつけては血を流して、「生」を問う女性の、内省的な暴力を昇華させる物語。
「鉄男」は鉄の咆哮で世界を破壊したが、「琴子」は歌と踊りという音で、我々に問いかける。
311後の日本から、塚本晋也がまた映画を変える。

小島秀夫さん(ゲームデザイナー)

母になったその日、女は逃れ得ぬ戦慄に身をやつす。
恐るべき母たちへ。そして全ての子供たちへ。

金原ひとみさん(作家)

生きるために必要な資格はあるのでしょうか。絶望的な気分になりました。
でも、そこにあった小さな命はとても逞しく、私に希望をくれました。
決して、生きることを諦めてはいけないと思いました。

坂井真紀さん(女優)

生きるとは…
時に辛く感じ、だからこそありがたいと感じ

色々と自分に教えてくれる
人により生き方も違い 人により痛みの感じかたも違い 時には喜びさえも違う

正直色々な意味で凄く刺激を受けた映画でした
あたしはCoccoが大好きです
何を知ってるかと聞かれたら何も知らない…でも彼女の存在が好きです
だから彼女を見れて感動しました
彼女がすべて写されているかは彼女以外わからない
でも釘付けになりました
生きるとは…生きることだと思う

土屋アンナさん(モデル、ミュージシャン、女優)

新生塚本晋也映画の傑作だ。
都市と肉体の相克に挑んだ塚本が、都市と精神の相克に挑む。
鉄になる男から、錯乱する女へ。
えっ!? そんな映画はよくあるって!?
甘いな。リアルを超えて、かくもファンタスティックな映像で斬り込めるのは、塚本より他になし!!

塩田時敏さん(映画評論家)

冒頭の数分、あまりの衝撃に「90分もたん!」と冷や汗
→これは塚本版ラブコメなのか!? と大笑い
→やがて物語は映画の枠を破壊して恐るべき境地へ。
塚本晋也&Coccoという突出した才能が激しくスパーク、両者の熱を少しも損なうことなく1本の映画に結実させて塚本監督の思念の強さに圧倒される。 とにかくすげぇ! のだ。

浅見祥子さん(映画ライター)

かあさんは痛くても、痛くても、世界に向かって目を見開き、
きたるべき不安や脅威に向かって叫ばなくてはいけないのだ。
KOTOKOのように。

金原由香(映画ライター)

特別だけど普遍的な母性を描いた、激しく、哀しく、温かい傑作。
媚びずに逞しく歌う母・琴子は、強く、弱く、そして美しい。

林 加奈子(東京フィルメックス、映画祭ディレクター)

手で丁寧に大事に作られたであろうおもちゃや装飾があふれたピンク色の多い部屋は子宮のようで、塚本監督は精子に、Coccoは女に、赤ん坊は赤ん坊に見えた。洟水をだらだら滴らせるCoccoはすごくエロティックだった。わたしは母性の何たるかを知らないけれど、中華鍋ぶん投げて「ちゃんとできない」と泣き叫びたい気持ちがあるのはこの映画を見て強く自覚した。

渡辺ペコ(漫画家)

Coccoの演技は歌であり、Coccoの唄は演技だったのか・・・
と思うくらいCoccoの演技は彼女自身だった。
それは塚本監督が引き出した歌声だったのか!?
ふたりの鬼才が出会ったことにより
いまだかつて見たことのない“奇跡”が起きた。
その瞬間を、その目で確かめろ!

山本英夫(漫画家「殺し屋1」他)

辛くてなんども目を閉じた
幕が下りて、涙が止まらなかった
なんて自分は楽に生きているのだろう
負い目を感じるようだった
生きること生きていること生かすことは
悲哀に満ち溢れている
どんなに滑稽であろうと生きないとならない
哀しくも、小さなよろこびに出会うために
そうして、今、生きているというよろこびに
あらためて気づかされたのだった

KIKI(モデル、女優)

圧倒されたまま飲み込まれっぱなし! 映像も音も歌も色も色鉛筆も。。

村田周陽さん(コナミデジタルエンタテインメント 小島プロダクション ライター)

ずっと、パンドラの箱をこじ開け続けよう。
絶望と向き合ってこそ、希望は失わない。
Coccoに触れる度、いつも勝手に決心している。

マツコ・デラックス(コラムニスト)

KOTOKOのむきだしの切なる想いに身も心も魂までも揺さぶられる。
塚本映画においてはスクリーンのこちら側も絶対安全地帯ではなく、
観客もまた無傷でいられない。
3.11後に生まれた凶暴で繊細な愛についての大いなる物語。
怪物級の傑作である。

三留まゆみ(イラストレーター)

母性の持つ危うさと強靭さとを、激しく、また抒情的に描ききった傑作だ。不条理な世界と闘うかのように生きるヒロインの姿は、行く先の見えない現代を生きる我々に途方もないパワーを与えてくれる。

市山尚三(映画プロデューサー)

ほっとした。私の正直な感想。私と同じような感覚を持った人が画面いっぱいに「生」を唄っててさ、途中から自分の「日常」見てる気がしてきた。人間の細胞に「目」がついてたら、こんな映像見てるんじゃないのかな?

ナオリュウさん(シンガーソングライター/ルーパー世界選手権2位)

私はCoccoが好きで好きでたまらなかったので、どうしてもこの映画は観たかった。Coccoが歌う躍る叫ぶ暴れる壊れる囁く。 塚本晋也監督と強烈タッグの凄い映画!

菊地由美さん(女優)

「都市」と「海」それぞれの血のしたたる切断面を無理矢理くっつけて出来た一本の赤い線の女・KOTOKOが観客を恐怖と笑いと恋と愛と歌の坩堝に叩き込む!その時我々は「死なず」、「殺さず」に「生きる」ことがいかに強く儚いものであるのかを知ることになる。

羽生生純さん(漫画家「恋の門」他)

言葉にできない、とはこの映画を評する為にあるフレーズではないでしょうか?
喜怒哀楽を超え、その先の、何か。その何かの先の、ずっとずっと先の・・・
僕がかろうじて伝えられるのは、映画の申し子・塚本晋也監督史上最高傑作であるということ。
そして311以降の、闇と光、そのいずれにもCoccoの歌声と泣き声と叫び声は鳴り響くということ。
塚本さん、Coccoさん、ありがとうございました。目が覚めました。生きればいいんですね。

大根仁(演出家・映像ディレクター)

塚本監督のCoccoへの深い尊敬と愛。それを受け止めて、信じられないくらい素晴らしい女優としての才能を発揮して見せたCocco。その究極の愛の爆発が生んだ、深い絶望と、大きな希望がテーマの映画だ。

渋谷陽一さん(ロッキング・オン代表)

最強。可愛さも、恐ろしさも、愛おしさも、面白さも、最強でした。

星野源さん(俳優、音楽家)

「自分と同じ名前の映画」という出会いのこの作品、私のことを描いたわけではないのに、何故か私の深い部分をこっそり覗き見られ、抉り晒し出されたような感覚を覚えました。人間なら誰しも日常の中に様々な拭いようの無い不安を抱えて生きています。きっとそれは『愛』という感情、そして『生きたい』という欲望があればこそ。昔から唯一無二のアーティストとして憧れ、目標としていたCoccoさんの描く「あらわにすること」の美しさに、私は一瞬も目を閉じることができませんでした。そして私ももっともっと己を強く持ちたい、そう改めて感じさせてくれた映画です。日々上手くやれてるつもりの私たちが奥底にしまい込んでる激情。それを惜しげも無く滴らせる琴子の生き様を、どうか目を逸らさずに見て下さい。

KOTOKOさん(アーティスト)/全文掲載

映画『KOTOKO』は多くのジャンルを自由に超えて、女性の壊れやすい心理状態と、孤立という深く不穏な思索と、現代都市生活についての印象的表現を創造する。パワフルなビジュアル言語で、塚本監督はヒロインの心に入り込んでいる。

Jia Zhangke氏(ジャ・ジャンクー/ベネチア国際映画祭オリゾンティ部門審査委員長 監督)

最新作『KOTOKO』でベネチアを騒然とさせた塚本晋也。陽出ずる国の歌姫Coccoが、幻覚のうちに魂の深淵に切り込んでいく本作で、母性をパンクに描く!

Roberto Silvestri氏(ロベルト・シルベストリ/映画評論家 全国日刊紙"IL MANIFESTO" 2011/9/10付より)

誰の心にも潜む、触れてはならない衝動に至る特別な旅。Coccoの演技は極めて精密で琴子そのもの。カメラは、琴子の中に入りこみ、そこで起こっている感情をキャプチャーする。観客は、鳴り響く警報と、終わると思う度にはじまるプレッシャーにさらされる。観客は、琴子の感情そのものを味わうのだ。

Thibault Delacour氏(ティボー・デラクール/ミュージシャン)

際立つ表現を一瞬にして捕える、撮影と感情の関係。『KOTOKO』は最も重要な作品として歴史に刻まれる映画だ。

Peter Zeitlinger氏(ペーター・ツァイトリンガー/撮影監督 ヴェルナー・ヘルツォーク監督作品他)