寄稿
FANTAGIA最優秀女優賞祝賀(2011/10/29, Shinjuku-Tokyo)

安井紀絵、佐藤寿保監督、Nicolas:FANTAGIAアジア部門Co-Director
FANTAGIA最優秀女優賞祝賀(2011/10/29, Shinjuku-Tokyo)

FANTAGIA最優秀女優賞祝賀(2011/10/29, Shinjuku-Tokyo)

第15回ファンタジア国際映画祭(2011/7/14-8/7)
The 15th Fantasia International Film Festival

第16回函館港イルミナシオン映画祭(2010/12/3-5)

The 16th Hakodate Harbor Illuminacion Film Festival
画像/PHOTOS

映画祭サイト/official site

第1回ジパングフェスト(2010/11/23-25)ワールドプレミア上映

The 1st Zipangu Fest - Japanese London Film festival
画像/PHOTOS
映画祭サイト/official site

白井剛史(プリミ恥部)/ユニバーサルラブメッセンジャー

『名前のない女たち』

私だけの魔法の時間は、
なにをしていても汚れない
よごしても泣いても、清潔だ
愛はおしえない、笑うだけ

なにかが壊れるのは、「触れる」からだし、

この映画は、わたしの
経験だった


映画館をでると昼間の新宿は
光がいっぱいで、
歩きかたを知らない女たちが、

危険な家に帰る前の、
畑仕事をしてる

だから
声をかけてしまった

木口亜矢(AV単体女優、青木リエ役)映像メッセージ
鳥肌 実(AV芸能プロダクション社長、井川役)映像メッセージ
河合龍之介(ルルの母親の彼氏、隆役)映像メッセージ
佐久間麻由(綾乃役)映像メッセージ
安井紀絵(ルル役) 映像メッセージ
滝田洋二郎(映画監督)

名前のない日本の男達を支える名前のない女たち。ラスト・血に啼く主人公ルルの目は強く美しい。佐藤寿保らしい映画。

しじみ(女優)

これは映画?
あまりに事実過ぎて、何も感じなかった。
「夢、ある?」
スカウトマンの常套句。
初めて渋谷へ来た日にスカウトされた。
撮影で、生まれて初めて化粧をした。
初めての現場で、泣きじゃくる女の子に、「ここから逃げなさい」と、窓から逃がしてあげたメイクさん。
監督の「よかったよ」の一言の為なら、何でもできると思っていた。
姫と呼ばれ、勘違いしていく女優。
「物じゃない」とか、やたらと言いたがる女優。
男に貢ぐ女優。
ハードプレイの撮影を機に、自殺した女優。(彼女は、ぬるま湯で死ぬカエルの話とかしてたな)

これが、隔離された世界の、AVの人たちの日常。
本当に身の回りの話すぎて、特に何も感じなかった。

(中村)淳彦さんの、「底辺、底辺‥」という口癖を思い出した。むしろ、こういう映画は好きじゃない。

今AVしてる子には見せられない。

いや、見ても面白さ分からないんじゃないかな。

いや、それも違うな。

他人には明らかに不幸に見えても、本人が幸せならそれでいい。

彼女たちは、そういう悲壮感も含めAVの世界が好きなんだ。侵食されたいんだ。

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ルル役・安井紀絵からのメッセージ

小倉純子・桜沢ルル役の安井紀絵です。
今回が初めての映画主演ということで、お話を頂いた時は正直、緊張と不安に押し潰されそうでしたが、せっかく私を選んで下さったのだから、私だけの、私にしかできないルルを演じよう!と思い撮影に挑みました。純子とルル、どちらも私と似ているところが沢山あってとても共感が持てたのですが、特にルルは凄く遣り甲斐のある役で、なかなか思い通りに演じられず悔しくて撮影中何度も泣かされました。監督を始め、共演者やスタッフの方々に思いやりに支えられて演じきることができて、本当に感謝しています。 物語は、普通の女の子たちが切ないくらいに懸命に生きているお話です。
世代を越えて色んな方に見て頂いて、少しでも何か感じて頂けたら幸いです。

綾乃役・佐久間麻由からのメッセージ

きっと何か強い縁があり、たくさんの偶然があって、今回『名前のない女たち』を沢山の方々と一緒に創れた日々はとてもとても楽しい時間でした。“初主演”とか、そうじゃないとか、少しの経験とか、そういうのは何も助けにも救いにもならず、常に不安定で真っ暗で、手探りでしか出来なかったけど、良いものにしたいというただそれだけの思いと勇気が、大きな力になって、映画作りに対し初めてちゃんと楽しめたように思います。
綾乃がどんな生き方をする女性か、私も演じながらも少し見えてない部分があるけど、やっぱりどう考えてもそうで、きっと私なんかよりもっとずっと大変なところで戦って、そして格好よく、可愛い人だと思います。
どうか、映画館で、一人でもたくさんの人に、触れてもらえますように。たくさんのみなさん、たくさんありがとう。たくさん、よろしく。

AV女優ハローワーク text by 中村淳彦

企画AV女優とは名前を紹介されることなく、その日の企画にあわせて女子高生やOLや人妻やナースや痴女や痴漢被害者などなどに変身して、日当ギャラでセックスを売り歩く女の子たちである。「AV女優=お金になる」というイメージが定着しているが、決してそんなことはない。一本手取り40万円〜200万円と高額ギャラを手にできるのはアイドルのように売りだされる単体女優と呼ばれる名前のある女の子たち(この枠にはいることができるのは5パーセントにも満たないホンの一握り)だけ。一般的なAV女優といえる企画AV女優は、「本番×1 フェラ×1」「本番×2 擬似×1」「アナル×1 本番×1」などおよその拘束時間と行為によってギャラは異なり、無名のルックスが並の女の子が稼げるのはせいぜい手取り3万円〜15万円くらい。セックスを売って3万円とはあまりにもリスクに見合ってないが、現在はそれでもやりたいという志願者が絶えないのである。

AV女優の後ろには必ずプロダクションの存在がある。大手、中堅、零細、泡沫と東京都内を中心に数百社存在してAV、セルAV、出版社、インターネット、CS放送、裏ビデオなどなど、女の裸を必要としている場所に女の子たちをキャスティングしていく現代の女衒業者である。さらにそれぞれのプロダクションの下に無数のスカウトマンたちが蠢いていて、日々女の確保に奔走している。スカウトマンは人が集まる繁華街の駅には時間をとわずに必ず存在して、頻繁に繁華街に出没するルックスやスタイルが人並み以上の女の子で声をかけられたことがない者はいないんじゃなかろうか。裸を扱うプロダクションは法的にグレーなアウトローの群れであり、メーカーや出版社が支払うギャラの4割〜7割は彼らが搾取するのが普通である。

最近は高収入雑誌やインターネットを経由して自らプロダクションに出演を志願する応募系の女の子が激増しているが、たまたま繁華街で声をかけられたとき立ち止まるか、立ち止まらないかが運命の別れ道となる。プロダクションやスカウトマンは、脱がして出演をさせる口説きには長けている。現状に満足している人間がどれくらいいるだろうか。お金がない、仕事がない、恋人がいない、淋しい、面白くない、刺激がない、友達がいない、彼氏と喧嘩した、将来が不安――些細な心の隙をつき、一つ一つ不安や心配を取り除きながら「お金になる=社会に必要とされる」AV女優の道を提示して出演させるのである。AV女優にはアウトローな風俗嬢だけでなく、一流大学生から家庭を持つ母、上場企業社員まで存在するが、それはAVという職業が彼女たちの心の隙間を埋めているからである。

AV女優は裸になる決意をした瞬間から自分が主役となる。企画AV女優とはいえ、彼女らがいなければ撮影は成り立たない。居場所があって刺激的で、誰かから必要とされてお金になる。裸になることなど、殆どの者が数回経験すればすぐに慣れてしまう。生きていくために必要なものすべてが揃っていて、あらゆる繁華街にその道を提案する者が存在し、あとはやるかやらないかだけ。誰が明日からAV女優になっても、まったく不思議ではない。AV女優の道を選んでいる女の子たちは一般社会で他人の顔色を伺いながら不安や不満を抱えているより、リスクを背負っても自分が主役としてもっと充実して生きることを選択しているのである。

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