作品情報 About the movie

監督 Director

石岡正人 Masato Ishioka  監督ステートメントへ

1960年8月静岡県生まれ。83年明治大学政治経済学部卒業。89年5月廣木隆一監督、冨岡忠文監督と制作会社ヘブンを起ち上げ、95年5月には自身の制作会社ゴールド・ビューを設立。以後、映像製作や日本映画の海外セールスを行う。08年4月より京都精華大学マンガ学部アニメーション学科の客員教授も務める。


[FILMOGRAPHY] ■長編劇映画『PAIN』('00/ヴェネチア国際映画祭批評家週間招待/日本映画監督協会新人賞/オポルト国際映画祭審査員賞)  ■オムニバス作品『TOKYO NOIR』('05/熊澤尚人と共同監督)■長編ドキュメンタリー『YOYOCHU  SEXと代々木忠の世界』('10/ローマ国際映画祭EXTRA部門招待)

プロフィール 石岡正人 Masato Ishioka
監督ステートメント Director's Statement

縁あって杉井監督の紹介でアニメーションを学ぶ大学生に教えることとなりました。

「実写の監督が何をおしえられるんですか?」杉井監督は「関係ないです。そんなの」「?」関係あるでしょ、やっぱり。で、いざ生徒と対面すると、こちらもアニメーションのことをあまり知らないので、彼らにアニメーションを教えてもらうこととなる。原画?動画?コンポジット?フルアニメーション?リミテッド?わからないことだらけでした。演出のことを教えようとすると、彼らが絵コンテを元にゼロから世界を作っているので、実際にある人物や風景を取り入れて撮影するという実写の感覚とずれていて、うまく伝わらないことも多かった気がします。杉井監督に相談すると、「これからのアニメはいろいろな要素を取り入れていかなければ駄目なんです。実写だってアニメ的な要素取り入れてるじゃないですか」と笑っている。そりゃそうだが、果たしてどうすればいいのか?まずは敵(?)を知るべし。などといろいろ調べていくうち、「これ、映画にした方が良くないか?」と撮影し始めました。だから、この映画は自分がアニメーションを知る過程の映画でもあるんですが、根が実写根性のために、人間くさい所ばかり撮ってしまい、これでいいのかなと悩みつつ、いつの間にか、アニメ業界の重鎮、杉井ギサブローにカメラを向けていました。『銀河鉄道の夜』ってアニメっぽくないアニメだし、マエストロ杉井はパンクな生き方をしているし、虫プロ、グループタックに関係していた重要人物ですしね。取材をする人達は当然、虫プロ出身の方達が多くて、その方達が皆70歳を超えているのに、現役ばりばりでびっくりしました。山あり谷あり、怒濤の業界を生き抜いてきたある種のしぶとさというのか、ただでは転ばないという逞しさがあって話を聞けば聞くほどテープを回してしまい、編集の時に苦しみました。

マエストロ杉井の生き方を中心に繋いでみたのですが、何かが足りない。どうしてだろう?わからない。わからない。締め切り間際になって、手塚治虫という巨匠が見え隠れし始めました。そう、これはアニメーション監督手塚治虫を巡る冒険で、杉井ギサブローは手塚治虫の長男という話だと思い始めて、ようやく締め切りに間に合いました。手塚先生ありがとうございます。その手塚治虫を愛した杉井ギサブロー監督お疲れ様でした。

この映画が完成して、絵を画けない自分が教室で生徒に何を教えられるのか?

うーん。何も教えられない・・・その代わり「アニメーションをやるって素敵だね」と伝えることはできそうな気がしています。