What’s 杉井ギサブローの仕事

■白蛇伝(1958/動画)
■鉄腕アトム(1963-1966/脚本・演出・作画)
■新宝島(TV 1965/作画監督・原画)
■悟空の大冒険(1967/総監督)
■ルパン三世 パイロットフィルム(1969/原画)
■どろろ(1969/総監督)
■千夜一夜物語(1969/特殊シーンアニメーション)
■哀しみのベラドンナ(1973/アニメーション監督)
■ジャックと豆の木(1974/監督)
■まんが日本昔ばなし(1975-1994/演出・脚本)
■孫悟空シルクロードをとぶ!!(1982/キャラクターデザイン・演出協力)
■ナイン(1983/監督)
■ナイン2 恋人宣言(1983/監督)
■ナイン 完結編(1984/監督)
■ガラスの仮面(1984/総監督)
■宮沢賢治 銀河鉄道の夜(1985/監督)
■タッチ(1985-1987/総監督・タイトルアニメーション)
■タッチ2 さよならの贈り物(1986/総監督)
■タッチ 背番号のないエース(1986/監督・脚本)
■紫式部 源氏物語(1987/監督)
■タッチ3 君が通り過ぎたあとに -DON’T PASS ME BY-(1987/総監督・脚本)
■陽あたり良好!(1987/監督)
■陽あたり良好! KA・SU・MI 夢の中に君がいた(1988/監修)
■スイートスポット(1991/監督・脚本)
■のぞみウイッチィズ(1992/監督・脚本)
■ストリートファイターII MOVIE(1994/監督・脚本)
■ストリートファイターII V(1995/監督)
■飛べ!イサミ(1995/総監督)
■ルパン三世 トワイライト☆ジェミニの秘密(1996/監督・脚本)
■タッチ Miss Lonely Yesterday あれから君は…(1998/総監督)
■スーパードール★リカちゃん(1998/監督)
■スーパードール★リカちゃん リカちゃん絶体絶命!ドールナイツの奇跡(1999/監督)
■陽だまりの樹(2000/監督)
■タッチ CROSS ROAD~風のゆくえ~(2001/総監督)
■はじめの一歩(2001/第2期OP絵コンテ)
■キャプテン翼(2001-2002/監督)
■羊のうた(2003/監督・脚本・絵コンテ)
■SPACE PIRATE CAPTAIN HERLOCK(2003/絵コンテ)
■火の鳥(2004/脚本・絵コンテ)
■あらしのよるに(2005/監督・脚本)
■鉄子の旅(2007/オープニングアニメ絵コンテ)
■シナモン the Movie(2007/監督)
■豆富小僧(2012/総監督・脚本)
■グスコーブドリの伝記(2012年/監督・脚本)

登場するアニメーション作品 Animation

『白蛇伝』

■『白蛇伝』(1958・映画/監督:藪下泰司)※アニメーター■
日本で最初の総天然色長編漫画映画(フルカラー・アニメーション映画)。当時アニメーション制作スタジオとしては最大の東映動画による最初の作品で、2年の歳月をかけて完成。中国の4大民間説話のひとつをベースに、白蛇が妖術をつかって美しい人間の女になり、青年と恋をするも、ひとりの高僧によって正体を暴かれてしまう。それでも女を追う青年は落命。白蛇は宇宙の竜王に自らの能力と法術を捨てる変わりに青年の命を蘇らせてくれるよう懇願。その願いはきき届けられ、青年は蘇る。【東映動画作品】

『鉄腕アトム』

■『鉄腕アトム』(1963-66・TV)※作画、演出■
日本初の国産テレビアニメ。51年に手塚治虫が発表した漫画「アトム大使」。その脇役だったロボットを主人公に、「鉄腕アトム」として翌年漫画雑誌に連載され人気を獲得。その漫画を原作に初の国産テレビアニメとして63年からフジテレビでスタートした。30分の番組、3年に及ぶシリーズ放映は全193話、放映初回から30%をの視聴率をマークした。 【虫プロ作品】

『悟空の大冒険』

■『悟空の大冒険』(1967・TV)※総監督■
「鉄腕アトム」の後番組としてフジTVで始まった。手塚治虫の漫画「ぼくのそんごくう」をベースにドタバタ調のギャグアニメとして作られる。杉井監督が“一般的な起承転結ドラマはおもしろくない、それを壊したい”としてシナリオ作家を募ったところ井上ひさしを含む何人かが手を挙げた、とのこと。孫悟空のキャラクター設定も“釈迦の手の内から出られない”、というたとえ話として引用されるキャラクターのイメージでなく、原作を大幅に変えたアニメとして作られた。全39話。【虫プロ作品】

『どろろ』

■『どろろ』(1969・TV)※総監督■
世間が水木しげるなどの妖怪漫画で盛り上がっている時期、手塚治虫も負けじと出した同名漫画が原作。室町時代末期、自らの野望のため48の魔神に我が子を差し出した武将。生まれてきた子供は48カ所体の部位がなく、川に流されてしまう。15年後の乱世、農民一揆に関わっていく孤児のどろろは、体の部位を取り戻すために妖怪と戦う百鬼丸と出会う。全26話。TVアニメ版は1~13話が「どろろ」14話~26話が「どろろと百鬼丸」とタイトルが変更され、内容も後半はより子供向けに変化した。【虫プロ作品】

『千夜一夜物語』

■『千夜一夜物語』(1969・映画/監督:山本暎一)※特殊シーンアニメーション
手塚治虫が構成、脚本、プロデュースした大人向けアニメーションの作品群、アニメラマのうちの一本。杉井監督が担当した性描写は評判を呼んだ。実写と合成するなど、実験的な技法も使っている。中世のイスラム世界に実在した王や后の話、架空の人物たちなど様々な場所を発祥とする説話からなる。妻の不貞から女を信用できなくなった王が、夜伽に選んだ若い女性を毎日殺していくのを見かねた大臣の娘。自ら后となり、毎夜王におもしろい話を聞かせる。佳境を迎えたところで続きは明日として、ついには王が女性を殺す行為をやめさせ、それが千夜続いたという。青島幸男、芥川比呂志、岸田今日子など豪華声優陣、のべ6万人のスタッフを動員し、7万枚の動画を費やして制作された史上空前のアニメーション超大作。【虫プロ作品】

『哀しみのベラドンナ』

■『哀しみのベラドンナ』(1973・映画/監督:山本暎一)※アニメーション監督■
紙に描いた水彩画に色をつける手法で、漫画家/イラストレーターの深井国の原画、パノラマ調に描かれた静止画をゆっくりカメラがパン、林静一が関わったシーンはグラスに油彩画を描きながらひとコマづつ作画していくグラスペインティングアニメの手法など、セル画が少ない実験的なアニメーション。原作はフランスの「魔女」(ジュール・ミシュ作)。ジャンとジャンヌは愛し合って結婚しようとするが、貧しさゆえに王の慰みものとなるジャンヌ。貧しい夫を助けるため悪魔に助けを求め、引き替えに悪魔は魂を要求する。ジャンヌはやがて悪魔とちぎりを交わすことで権力を手にする。そこに目をつけた王がジャンヌを取り込もうとするが、ジャンヌはそれを断り、最後には火刑に処せられる。 「大人のためのアニメーション」第3弾として製作。「アートアニメーション」の先駆。【虫プロ作品】

『ジャックと豆の木』

■『ジャックと豆の木』(1974・映画)※監督■
イギリスの童話を基にしているが、天上部分の箇所は原作に追加。“奇蹟を起こす豆”と引き替えに牝牛を交換した農夫ジャック。これに怒った母親は豆を捨てると、それが大きく成長して天まで届く。天では悪魔ノワール夫人に捕らえられている妖精のマーガレット姫がいて、ジャックはなんとかマーガレット姫を救い出そうとする。ディズニーのフルアニメーションを模した作品で、ミュージカル仕立て。定番のミュージカル風音楽の合間に歌謡曲や演歌っぽい音楽が挿入されて、ポップな作りになっている。【グループ・タック作品】

■『タッチ』(1985・TV)※総監督・タイトルアニメーション■
あだち充原作の漫画をもとにアニメ化、フジTVで放映。全101話。双子の兄弟:達也(兄)、和也(弟)と新体操のアイドル、南の3人の登場人物で話が綴られていく。途中弟の和也が交通事故で亡くなり、南を甲子園に連れて行くという弟の夢を兄の達也が話。本ドキュメンタリーでは『タッチ』はテレビのオープニングが使われている。TVのオープニング/エンディングは、作品のテーマ、スタイルなどのエッセンスを見せる箇所でもあるため、杉井監督自ら監督、本編同様力をいれて作っている。本作でゆっくりとしたカメラの動き“じわパン”や“じわ寄り”と呼ばれる手法を確立した。

『宮沢賢治 銀河鉄道の夜』

■『宮沢賢治 銀河鉄道の夜』(1985・映画)※監督■
ま だ小さいジョバンニは苦しい家計を助けるために、学校が終わってから、印刷所で仕事をしている。彼の唯一の友達はカンパネルラだが、最近はあまり口を聞か なくなっている。星祭りの夜、ジョバンニは病気の母親に牛乳をとりに行くため、一人町はずれを歩いていた。彼はいつの間にか、天気輪の丘へ来ており、気が つくと巨大な機関車が停車していた…星祭りの夜、銀河鉄道の列車に乗って、親友と一緒に広大な銀河宇宙の旅に出かける少年の姿を描く。宮澤賢治原作の同名 小説をますむらひろしが猫をキャラクターに漫画化、これを原作に作られた映画。劇作家の別役実が脚本、細野晴臣が音楽を担当。

『紫式部 源氏物語』

■『紫式部 源氏物語』(1987・映画)※監督■
原作の長編から、夕顔との別荘のくだりから、須磨へ向かうにあたって紫の上との別れまでを描いている。声優人も当時のトップスター、風間杜夫、風吹ジュン、大原麗子などを起用、音楽は「銀河鉄道の夜」と同じ細野晴臣、キャラクタアニメーションも同じく江口摩吏介があたって、幻想的な作品に仕上がっている。紫式部原作の『源氏物語』全五十四帖のうち、夕顔との出会いから須磨までを描く。光源氏を、ピアスをしたユニセックスなキャラクターとして描くなど大胆な設定。

『紫式部 源氏物語』

■『グスコーブドリの伝記』(2012・映画)※監督・脚本■
美しいイーハトーブの森を舞台に、厳しい自然と向き合う主人公ブドリが、たくさんの出会いと別れを経て成長し、やがて困難に直面した故郷の人たちのためにある決意をする物語。キャラクター原案のますむら・ひろしをはじめ、『銀河鉄道の夜』のスタッフが再び集結。杉井ギサブローが脚本も執筆し、宮沢賢治が問いかけた自然と人間の関わりを映像化。「誰でもできることがきっとある」をテーマに、12年7月7日全国公開(ワーナーブラザース配給)。warnerbros.co.jp/budori/ 【『グスコーブドリの伝記』製作委員会/ますむらひろし】