物語
近未来の日本。政府に反抗的なロックバンドが、2046年のある日、ライブ中に連れ去られる。彼らが目覚めた場所は重い雲と憎しみに覆われた絶海の孤島だった。鎖につながれて過ごす日々の中、ボーカルのジュントクは、唸るような女の歌声を耳にする。島の支配者の性のはけ口として島に生きる唯一の女性ミランダが、とぎれとぎれの歌詞を紡いでいた。そんな中、人気絶頂で姿を消したバンドの未発表曲で金儲けを企む二人の男が島にやってきた。ジュントクは音楽作りを強要され、バンドのメンバーが次々とこの世を去っていく中、女の歌う歌詞の断片を集め、曲をつけ、歌い始めた。それは失われた能の歌詞「鬼の歌」だった。ジュントクが「鬼の歌」を歌い終えた時。海は空をなぎ倒し、空が地を覆い、轟音に包みこまれる。島は胎動をはじめたー。